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「サラサ...サラサ...」
桜子はドアの前に立ち深呼吸して控え目にドアを叩きながら呼んでみた。
返事がなかったのでそ~っとドアの取っ手を回すと開いた。
カーテンを閉め切った薄暗い部屋に入ると背を向けたベッドにうずくまる黒髪が見えた。
「ねえ、サラサ...まだ寝てんの?
ねえってば...」
桜子はそっと近づき彼女の細い肩を軽く突付いた。
「う~ん、お母ちゃん...
もう少し寝かせて...」
「サララ、
ねえ...わたし...桜子。
ちょっとだけいい?」
「あぁ...さくちゃん...
ごめん、昨夜は遅くなっちゃって...
話があるって言ってたよね。」
「そ..ううん、いいの いいの...
わたしさぁ、何だかヘンテコな事になっちゃって...
どうしても今の状況が分かんないんだよ。
凄く変な事 聞くけど、オカシイって思わないで...」
「大丈夫だよ。さくちゃん...
あんな事があれば誰だって悩むし落ち込んじゃうよ。」
「...って...
どんなことだっけ...?」
サラサは眠たそうに目を擦りながら桜子の方に寝返った。
「ショックは大きいよね...
襲われたんだもん...
忘れられないしトラウマになるよね。」
「あっ...違うの、その事じゃなくて...
わたし達の事...
サラサは1人なの?
サララって言う双子の姉妹じゃなくて...
あなたはサラサでサララっていう芸名のタレントやってんの?」
サラサは桜子をふっと見つめ身体を力なく持ち上げてベッドに座り、自分の隣に座るように布団をポンと叩いた。
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