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母親
朝目覚めると雲ひとつ無い透き通る様な青い空が広がっていた。
しかも身体も軽いしクリアな思考とメンタルだった。
今日はサララの家にお邪魔する日だ。
家からは電車を乗り継いで1時間ほどで着くのだが、9時には出て二子玉川駅のファーストフード店で腹ごしらえをした。
そして川沿いの堤防を散歩した。
雲ひとつない空は川面を紺碧に変え眺めていると引き込まれそうに感じた。
サララの家に着いたが少し早過ぎたと思い大門の壁にもたれて足元の小石で戯れていた。
「悠木さん?」
突然サララが小門の扉を開けて言った。
「あ、サララちゃん...」
「外で待ってようと思って出てきた所です。
呼び鈴鳴らしてくれればよかったのに...」
「うん、少し早すぎたかなって思って...」
「どうぞ入って下さい。
母も待ってるんです。」
「うん、じゃあ、お邪魔します。」
玄関までの石畳はあの時のまま変わらず手入れされた花壇には花が咲き誇りサラサと一緒に歩いた記憶が溢れた。
母親が迎え入れてくれた。
「いらっしゃい。
どうぞ上がって頂戴。
この子が人を家に呼ぶなんて今までなかったのよ。
高校生だって聞いて少しびっくりしたけど...
何となくだけどどこかで会った気がするわね。
お名前は?」
「悠木桜子と申します。
宜しくおねがいします。」
「お住まいはどちら?」
「生まれも育ちも浅草です。」
「まぁ、どっかで聞いたようなセリフね。
...えっ!
チョット待って。
まさか悠木屋さんと関係あるの?」
「あっ、ご存知ですか?
わたしの家です。」
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