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「ええええ!
じゃあ、お母さんは?」
「悠木いずみです。」
「やっぱり...
いずみ!
私達 高校の頃から友人なの。
サラヤにもよく行ってるし...
最近は忙しくて行けてないけど。
いずみの娘さんなのね。
桜子ちゃんだよね。
そうそう桜子ちゃんだ。
見ない内にもう高校生になっちゃったんだ。
赤ちゃんの時はよく遊びに行ってずっと抱っこしてたんだから。
覚えてるわけないかぁ...
そっかぁ~
だから見覚えがあると思ったのはいずみの高校生の頃と似てたんだね。
チョットだけ抱きしめてもいい?」
母親はそう言うと有無を言わせずにしっかり抱きしめた。
「お母様、わたしのお客様ですよ。
もういいでしょ!」
サララが顔を赤らめながら言った。
わたしは緊張の糸がほぐれサララをより一層 身近に感じたしサララも笑顔が増え和らいだようだった。
わたし達は古くからの友人のように話し込んだ。
サララの事は殆ど知っているつもりだったが中学生の彼女の話は心に刺さり泣きそうになったし、これから両親の事とかもっと辛いことが起きる事を思い出すと胸が苦しくなった。
夕食を誘われたが今回は辞退して帰る事にした。
自分の家だと思って遊びに来なさいと名残惜しそうに母親が言った。
サララは外に出て見送ってくれた。
ただ残念だったのは長谷部がいなかった事だ。
電話しても繋がらなくてどうしても弟 堅次の事を聞いておきたかったし浅草で会った事も話しておきたかった。
しかしまさかこれがこの世界でサララと最後の出会いになるとは夢にも思わなかった。
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