行方不明

1/2

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ

行方不明

わたしは家に帰ると直ぐに母親と話をした。 もちろんサララとの事だった。 経緯(いきさつ)を話し合い縁深い事にため息をついていると突然母の携帯がけたたましく鳴った。 サララの母親からだった。 見る見るうちに母の顔色が変わり焦りの表情となった。 わたしを見送った後、サララがいなくなったと叫んだ。 最初 理解できなかったが直ぐにあの長谷部堅次のつり上がった目を思い出して足が震えた。 わたしは長谷部さんに連絡すると直ぐに出た。 「一体どういう事なんでしょうか? サララがいなくなったなんて... 何かの間違いでしょう?」 わたしは捲し立ててしまった。 「悠木さん、私は今探し回っている所ですが図書館で見かけたと言う情報が入りましたので向かっています。」 「どこの図書館ですか? あの時間からそんな所に行くなんて考えられないです。 ...長谷部さん...? 長谷部さんったら...」 「・・・」 いつの間にか電話は切れていた。 わたしは急いで着替え直して世田谷に向かった。 駅で近くの図書館を探すとサララの家からそれ程遠くない所に在った。 もう闇が流れ出して街頭の明かりが辺りを照らし始めていた。 でもこんな時間まで開いてる訳ないし... 図書館の近くで目撃されたのかな? 警察には連絡してるよね? 色んな事を考えながら小走りで向かった。 夕食も摂らないままで来たので酷く空腹感を感じていた。 案の定 施設の玄関は暗く鍵が掛かっていた。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加