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サラサの祖父
日曜日の朝。
サラサの家に中学入学の祝を持って祖父が来た。
3代目快天不動産会長 小師虎三。
サラサの祖父が会長、父親が社長を務めていた。
虎三はこの歴史ある会社を大きくした1番の功労者ではあったが裏社会にも精通して決して良い噂ばかりではなかった。会社でも家でも全てがワンマンで家でも会長と呼ばせる程だったが、サラサだけにはお祖父様と呼ばせていた。
しかし常に厳格さを求めた。
和室で正座したサラサはいつもの様に畏まって挨拶した。
そして虎三は祝の品を渡した。
サラサは大体プレゼントの中身は予想がついていた。
今まで誕生日やイベント等で貰ってきた物は殆ど女の子向けは無く銃器やナイフ軍事等の武器の書物や玩具に徹していた。
だから今回も全く期待していなかったが去年の誕生日に貰ったダーツセットは気に入って遊んでいた。
革製の箱を開けると綺麗な装飾の付いた柄の様な物だった。
手に取ってみるとずっしりと重かった。
折り畳みのナイフで護身用にこれから常に持ち歩く様にと祖父が言った。
サラサは箱にしまい部屋へ戻ろうとすると祖父がこれから食事に出掛けるから支度をするようにと言った。
いつもの銀座のレストランかと思っていたら浅草の洋食屋だった。
店を借り切って祖父と両親の4人で食事をした。
----ユウキサラヤ----
サラサは初めて大衆食堂的なレストランに入った。
店主の悠木純次は30人分のスペースで4人で食事なんてこんなのは初めてだったので挨拶に出向いた。
そこでサラサを見て愕然とした。
十数年前に行方不明になった妹の美代に瓜二つだったからだ。
挨拶もそこそこに厨房に帰った。
その後、美代を知る古いスタッフや純次の妻いずみが代わる代わる対応してみんな言葉を失った。
いずみは厨房で泣き出す程だった。
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