サラサの祖父

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純次は手洗いに立ったサラサを呼び止めた。 店のスタッフは遠目から凝視していた。 「食事は如何でしたか? お口に合いましたか?」 「ええ、凄く美味しかったです。 ありがとうございました。」 「誕生日のお祝いですか?」 「いいえ、中学入学のお祝いです。」 「そうでしたか。 おめでとうございます。 また宜しければおいで下さい。」 「はい、是非伺います。」 「どちらからですか?」 「世田谷です。」 「そうでしたか、それ程遠くないですね。 ちなみに... 宜しければお名前をお聞きしても?」 「更紗...小師更紗です。」 「サラサさん... いいお名前ですね。 覚えておきますよ。」 「わたしもお聞きしたいんですが、 このお店の名前、 ユウキサラヤさんですよね。 ひょっとしてユウキさんって方がやられているんですか?」 「そうです。 私が悠木と申します。」 「そうなんですね。 何かのご縁でしょうか? 先日も世田谷でユウキさんって女性の方とお会いして... ちょっと不思議な方でしたが... ですので何だかドキってしました。」 「そうでしたか。 悠木って名前は珍しがられます。 ちなみにその方はお何歳くらいの方でしたか?」 「そうですね...分かんないけど 40位かな? ミヨさんって方でした。」 「ええ! ユウキミヨさんですか?」 「はい、そう言われました。 わたしの名前もご存知でしたので遠縁の人かなとも思いましたし... まさか誘拐? とも思いましたが...」 サラサは口に手を当てて微笑んだ。 「ど、どんな感じの方でした?」 「長い黒髪で綺麗な方でした。」 「サラサ!何してる? 早く席に着かないか!」 父親が呼んだ。
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