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純次が振り向くとその男は近付きながら話し始めた。
「私も随分と探しましたよ。
美代を...
そう、貴方の妹...
でもね悠木さん。
彼女は何と言っても私の妻だし、
それに2人の可愛い娘まで授けてくれた。
私はね、悠木さん。
失ってしまった彼女を何とかこの手に取り戻したいと思って2人の娘達の手を借りて幾度となく美代の手を掴みかけたんです。
でも駄目でした。
手助けしてくれる筈の娘達に事々く邪魔されてしまった。
分かりますか?
私のこの気持ち。
結局、娘達を取るか美代を取るか。
そう言う所まで来てしまった。
時間はいつも残酷で容赦ない。
きっと貴方にはこの状況が全く理解出来ないでしょうね...
私は常に躊躇なく美代を選んだ。
私の全ての愛を彼女に捧げた。
先ほど貴方が会った娘も貴方の店で会った娘もそうです。
私と美代がもうけた双子の娘達です。」
純次は少しよろめきながら後退りした。
「貴方が驚くのも仕方ありませんね。
娘たち2人共 美代と瓜二つに育った。
私でさえ最初は見分けられなかったんですから...」
「ちょっと待たないかい。
黙って聞いてりゃベラベラと!
よくまあそんな出鱈目を
美代がどうしたって?
アンタと世帯持って双子の娘?
おめえ頭イカれてんのかい!
寝言は寝床で言いやがれ!」
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