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「悠木さん。
ここをご覧なさい。」
男は純次が啖呵を切った事も無視して指差した。
純次は目を凝らしながら近付くと白いお人形さんの様な顔が見えた。
「あ、あんたこの娘はさっきの...」
純次はその娘を抱きかかえると肩を揺すりながら呼び掛けた。
その娘の柔らかく長い髪が純次の腕にサラリと零れた。
「その娘は更紗。
貴方の店で会った娘...
私の大事な娘...
後はサランを逝かせてあげれば美代は戻って来る。」
「アンタ...狂ってる!
この娘を早く病院に!」
純次は抱きかかえた更紗を連れて行こうとした。
すると男は持っていた警棒のような物で純次の後頭部を容赦なく殴った。
鈍い音が坂道にこだまして純次は更紗と共に崩れ落ちた。
「罪深い娘だ。
何で今日の事を悠木に話したんだ。」
男は更紗を抱きかかえ肩に乗せて坂道を登り始めるとサランが震えながら佇んでいた。
「あ、お嬢様。
待ち合わせ場所に居てくれたら良かったのに。」
「は、長谷部おじ様...
い、一体何をなさったのです!
どう言う事です?」
「お嬢様、このお二人は襲われたようです。早くあの図書館へ運びましょう。
救急車がそこに来ます。」
「いえ、そこに倒れた方を殴るのをわたし見ました。
長谷部おじ様がどうしてこんな事を...
何があったのです?!」
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