最後の時

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「いいか、よく聞くんだ。 赤ん坊だったお前達2人は津波に飲み込まれたが奇跡的に救われた。 そして別々の家の養子となり成長した。 私は美代の行方を探すうちにお前の存在を知り見つけ出した。 美代を探し出す唯一の手掛かりがお前だった。 3歳だったお前は可愛らしく何時も私の側にいた。 それに私は更紗の存在も知った。 そこに横たわっているのがお前の妹の更紗だ。 もう息絶えてしまったが... 私の能力は過去の時間軸へ行く事が出来る事だった。 ところが驚いた事にお前達もその能力が身に付いていた。 最初 私はお前達のその能力を上手く使い美代を取り戻そうとした。 しかしお前達は協力するどころか邪魔ばかりして私を困惑させた。 私は多くの時間軸の中で様々な事を試した。 美代が高校生の頃、結婚して妊娠した時... 栗野...美代の結婚相手を消滅させた事... 私は美代の為なら何だってやって来た。 そしてやっと... やっとこの時間軸に辿り着けた。 お前達が能力を獲得する前の... この時に。」 「よく... 分かんないけど... わたしが死ねば... この娘もその人も生きれるの...?」 サララは朦朧とした意識の中で呟いた。 「この娘もその人もじゃない... お前の妹と母親だ。」 「そう... おじ様は一体誰なの?」 「お前たちの身体に流れる血の半分は私の血...。」 「わたしの... 本当のお父様...? だったの... じゃぁ 約束... してくれませんか? 妹とお母様は... 生かして...」 長谷部はゆっくりとサララのか細い首を締め上げた。 「お母様... 妹...と お話... したかった...」 彼女はもがきながら低い声を絞り出し、 そして力を失った。 しかし薄れていく意識の中で自分を呼ぶ声が聞こえていた。 「サララちゃ~ん! サララちゃ~ん!」 あの声は... 桜子さん... 「サラン... しっかりしなさい。 大丈夫よ。」 お... か... あ... さま...
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