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サララとサラサ
「ねえ、サララ起きて!
何時だと思ってんの?
マネージャーさん来て待ってるよ。
サララったら!」
「何時?」
「もう7時だよ。撮影8時始まりじゃないの?」
「うん分かってる...
でも何だか変な夢見たよ。
もう疲れちゃった。」
「うんうん分かった分かった。
帰ったら聞いたげる。」
「サララ遅い!
もう間に合わない!
今日は社長も来るって言ったでしょ。」
「ごめんなさい。
ぐっすり寝たはずなのにヘンテコな夢のせいで疲れて起きたの。」
「今日は夢のせいなのね。
この間は首絞められたよね。」
「ねえ、さくらちゃん。
今夜は一緒にいれるよね。」
「知らない。」
「もお~、マネージャーなんだからわたしのお願い聞くべきだよ。」
「知らない。
もうすぐご両親の命日でしょ。
やっとの思いでスケジュール空けて貰ったんだから。
どれだけの人に頭下げたと思ってるの。
サラサちゃんもTVの収録を前倒ししてくれたみたいだし。」
「最近 サラサってTVの露出多くない?
本業の弁護士の仕事は大丈夫なのかな...
昨夜も徹夜してたみたいだけど。」
「サラサちゃんなら大丈夫だよ。
誰かさんみたく弱虫で泣きべそじゃないから。」
「もう桜子!
ほら!ちゃんと前見て運転して!
わたし達って凄い確率で巡り合ってこうして生きてんだから。」
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自分の荷物は自分で背負って行くもんだよ。どんなに愛する人と結ばれたとしてもね。人は少なくとも3つの時間軸を持って生きている。
孤独の空間。外の空間。中の空間。
いつまでそんな事をするつもりなのか分かんないけどわたし達は何度でも必要があればやろうと約束した。
あの日わたしが人を殺してしまった真実を知った時、スタジオのビルの屋上から飛び降りて死のうとした事がどれだけの不幸を招いたのか。
飛び降りたあと気づけば冬山の道をバスに揺られて吐きそうだった。
でも もうそれも記憶の波に漂い始めた。
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