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わたしは表向きTVとか出てる有能な弁護士。
学生の頃から弁護士事務所でアシスタントをやって来て、そして在学中に弁護士になった。この世の罪には必ず罰が必要だし与えられるものだと思って法律家になっていた。
でも...
でも、現実はそうではなかった。
法律の網をすり抜け、弱者を食い物にしてノウノウと太る犯罪者。
身体に傷を負わせずとも心をえぐり精神崩壊を起こさせる頭脳犯。
レイプ殺人を犯しても巧妙なアリバイで証拠不十分で不起訴になる殺人者。
法律は万能ではない事をわたしは嫌と言うほど身を持って経験した。
このまま法律家として生きていけるだろうかと悩みに悩んだ。
そして一つの答えに辿り着いた。
法で執行出来ない罰を犯した者をわたしが執行する...
つまり罪を償わせる執行者としてもう一つの顔を持つ事を。
わたしがその弁護士じゃなく3人でお母ちゃんを救う事に躍起になっていた頃の自分の記憶を取り戻した時にはもう手遅れだったし悲惨だった。
既に数人を執行していたし、サララをレイプして殺した犯人を抹殺しようとした時だった。
そう...
サララはレイプされて殺されたの。
その時は皆んなとの記憶は無くて有名なアイドルの悲劇で気の毒だとは思ったけれど、違う世界に住む人だとあまり気に掛けなかった。
ところが、連日のようにメディアやネットで報道されていたサララのレイプ殺人事件で拘束されていた容疑者のアリバイが証明され釈放されると一段と混迷の様相を呈したの。
そんな時だった。
その容疑者はわたしが以前担当したモデルレイプ殺人事件の容疑者だった事を知ったの。
わたしは再度 徹底的に調べ直した。
その男は中学の頃から異常な性癖があり何度もグレーな性犯罪を犯していた。
頭脳は明晰で東京国立大学を卒業して財閥の一人娘と結婚していた。
長谷部堅次。
中学の時、隣町の女子小学生をレイプして山林に遺棄した。
高校の時に海水浴に来ていた女子中学生を海中でレイプし溺死させた。
社会人になってから女子高生を車に連れ込みレイプ未遂。
OLのアパートに侵入してレイプ後刺殺した。
モデルを拉致して海中に沈めた。
タレントのサララを拉致して絞殺レイプした。
全て長谷部に辿り着くのだが決定的な証拠がなく完璧なアリバイがある。
事件になっていない犯罪も犯している可能性は十分ある。
わたしはこの男はこれからも何度も同じ犯罪を犯し続け、決して法律では括れないレイプモンスターだと確信した。
そんな時だった...
過去の人生の記憶に覚えのない幾つかの映像が流れ込んで来た。
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