勇者

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 王様に言われても俺はアワアワすることしかできない。 「何をしてるんだ!早くあの剣を抜け!」  金髪男がチラッとこっちを見て睨んだ。 「えっと……無理だと思うんですが……」  言いながら近寄ると、 「ガイでも無理だったからな。そうだろう」  王様もうんうんと頷く。 「でも、一応試しに……だからな」  微笑まれて俺はその棒に触れた。 「引き抜けるか?」  言われて右手を動かすと……するんと抜けた!? 「え?」  時が止まるってこういうことなんだろうな。  シーンとして誰もしゃべらないし、動きもしない。  俺のすぐ側に居た兵士なんて目がこぼれ落ちるんじゃないかってくらい見開いている。だが、 「……お前が勇者のようだぞ」  しばらくして王様が微笑んだ。  いや!ちょっと待って!  何かの間違いだから!  ガイって奴!お前本当にこれが抜けなかったのか!?  変な芝居したんだろ!  お前強いんなら何でこれ抜けなかったんだよ!  めっちゃ言いたいのに何一つ言葉にならない。
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