勇者

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「よし、行くぞ」  王様が出ていくとガイ……どう見ても年上だからガイさんって言った方がいいのか?は立ち上がって俺を見た。 「ちょっと待って!俺……どうなんの?」 「は?今の話聞いてなかったのか?」  バカか?こいつ……と言いたそうな顔。  かなり面倒くさそうにするなよ。 「いや、聞いてたけど……俺、勉強も中の中で、運動だって中の下だからさ。もしかしたら下の……」  言いながら落ち込んできた。 「言ってる意味がわからん」 「だから!俺じゃなくてガイさんの……」 「ガイでいい」  ガイは遮って腕を組む。 「ガイ……いくつ?」  おずおずとガイの表情を窺いながら聞いてみた。 「あ?21だけど?」 「ほら、俺17歳の高2だし、身長だって160しかないチビだしさ」  一生懸命言ってるのに、 「言葉の意味がわからない。行くぞ、勇者」  ガイはため息を吐いて歩き出す。 「俺、絶対無理だから……勇者とかやめて」 「……なら、ユースケ」  ピタッと一瞬足を止めてまたさっさと歩き出した。  ガイは180はありそうだから、足の長さだって全然違う。  ガイの1歩って俺の2歩じゃないか?  置いていかれても困るから俺は必死に後を追った。
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