プロローグ

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プロローグ

 ピピピピ……ピピピピ……    無機質なアラームが薄暗いグレーの室内に響いた。    ベッドに腰かけ足を前後にパタパタとさせていた彼女が顔を上げる。  赤く光るヒーターに手をかざしていた俺はスマホのアラームを止めると立ち上がり台所へ。僅かな距離しか違わないにもかかわらず感じる温度はぐっと下がり、肌がぶるりと震えた。  小さな流しの脇、シンクの上には皿ののったカップラーメンが2つ。  皿をどけると押さえつけられていたフタがわずかに開き微かに湯気がもれた。  そこで彼女がベッドから降りこちらへと寄ってきた。  俺が二つあるカップラーメンの片方を差し出すと彼女は喜々としてそれを受け取り、ストックしてある割りばしを一膳抜き取るとそのまま窓際へ向かいサッとカーテンを開く。薄暗かった部屋がほんの僅かに明るくなった。  覗いた窓は曇っており外の様子は伺えない。結露が溜まっておりいくつもの水滴の筋ができている。彼女はその窓も躊躇いなく開け放った。  途端に外の空気が室内へと吹き込んでくる。  ヒーターの熱によって申し訳程度に温められていた室内がまるで塗り替えられていくかのように外の空気で満たされていく。 「え……その格好で外出るの?」  腕を抱きぶるりと身体を震わせながら俺は彼女へと目をやる。
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