魔術師の息子達

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俺は立ち上がった。俺だけではない。兄貴も弟もだ。 「エワロズ兄さん、これは!」 「親父に助けられた」 負傷を治す術。それも複数の人間を一気に癒やす術。 「まだぼくには使えない術だよ、それ」 「兄貴、もう一度奴を引き付けてくれ。大業を発動させる」うまくいくとは限らない。という言葉を無理矢理飲み込む。 ウェルケが「守護」を発動させる。兄貴にその術がかかる。兄貴は再び剣を振るう。俺は気配を消し、地面に描かれた目当ての文字へと手を伸ばす。 「門」の文字を中央から両端に動かす。 地面に描かれた文字が光る。よし、発動した。急いで次だ。 「召喚」の文字を逆になぞる。 禍神の下僕が光る輪の、さらに中へと引き戻される。が、奴はやはり抵抗する。 「兄貴、奴を押し返せ!」 俺の言葉に兄貴は体当たりをかまし、ウェルケが体当たりした兄貴を力尽くで引き戻す。 鈍い光の輪の中央に奴が収まる。俺はそれを確認すると、「戻」をなぞる。本来は落とした物を取ったり、指定した場所に何かを戻す術なのだが、思惑通りにいってくれ! 鈍い光が輝く光にかわる。二重に描かれた外側の円の方から、青く光る文字が躍る。 親父め、やってくれる。 瀕死の重傷を負いながら、俺がここに来る事を願い、描いた文字。俺はその文字に指を滑らす。 「帰還!」
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