魔術師の息子達

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「それで、あんたたち三人兄弟揃って実家に戻されたというのね」 ロロが呆れたような口調になるのは無理はない。あの後、「種」の術で行動停止したロロ自身の術が解け、同時に禍神の花嫁の入れ墨が消え失せたのだという。 「何かあったのはわかったから、急いで奥まで行ったら、誰もいないのだもの」思わずあんたたち三人の名を叫んだわ。と。 ロロは語る。地面に描かれた円は、外に描かれた文字しか残っていなかったという。 生きた「異界の門」は失われてしまったか。魔術師ギルドは悔しがるな。だが、禍神の下僕を異界へ送還させることに成功したのだから仕方ない。 自宅に「帰宅」させられた俺達は、兄貴と弟が遺跡へ引き返し、ロロと合流した。 ……で、俺は術を使いすぎて、身体が動かないわ、白髪になるわ…… しばらく休息せざるを得ない。 「父の遺言はだいたい果たしたとみていい。少しばかり残党が残っているようだが」兄貴は王都に行き、この村への配置転換願いを出すという。 「ぼくもこの村に司祭として、赴任を願いでるよ」弟もそう言う。 なんだい、なんだい。俺達三人兄弟、ガウエンの息子だな。 「俺もここに残る。一度は魔術ギルド、盗賊ギルドに顔を出さないといけないが」この状態だと今は行けそうにないが。と、言葉を続ける。 「……で、たずねるが、この中に文字を書ける者はいたか? 両ギルドに報告書を送らねばならないのだが」 残念ながら、俺は見本がないと文字が書けない。
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