魔術師の息子達

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ロロの導きによって、俺達は遺跡の奥深くへと進む。ざっと見る限り、隠し扉の形跡や魔力が働いている場所があり、歩いてきた部屋の出入り口付近に、木の塊が残っている。 「あたいたち二人で探索していたからね、木の操り人形を先導させて歩くで、遺跡探索し続けていた」 遺跡探索の荒技だ。ちょっとずつ進み、引き上げる度にに入口を棘で閉じたのだろう。 次の部屋に入ろうとして、扉に鍵が掛かっていた。ここまで魔法で閉じた扉はなかった。 おそらく親父が鍵をかけた扉。足元を目を凝らすと血の痕跡がある。親父はここまで来て鍵をかけ「脱出」を発動させた。そう、考えてよいだろう。 「ウェルケ、皆に守護の術を。親父はこの先で重傷を負った」 ウェルケの神聖魔法が発動し、身体にベールに包まれたような感覚を覚えた。 俺は「鍵」の入れ墨を中央から両端に向かってなぞる。これで「解錠」の術が発動する。 閉じた扉が開き、ロロの手が動き光球がその先へ動く。が、ロロが突如うずくまり、身体を震わせた。 「ごめん、あたい、ここから先は行けない」 ロロの身体に彫られた赤い入れ墨が、芋虫が這うように動く。白い入れ墨が網のように覆っているにもかかわらず。 「あの時もそうだった。身体中の赤い入れ墨がうごめき、自分が自分でなくなった。あたいはこの先、正気を持てなくなる。だから、ここで殻に隠る。いいわね」 殻に隠る。それは白と黒き森妖精の民の術で、蓮の種のように深い眠りに陥る術。 「解放の言葉は、……そうね、あんたたち三人の母さんの名前にしておくわ」ロロはそう宣言した。
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