魔術師の息子達

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ロロが探索から外れる前に俺達は腹を満たし、交代で休息をとる。 十分に休息をとった後、新たな松明に火を点し、「明かり」を唱え直し、光球を飛ばせるぎりぎりの場所へと三つ放ち、宣言通り「種」の術を発動させ、ロロはその場所に留まる。 そこから俺達は、足元に残る血の跡を遡り前へ進む。俺自身にかけた「危険感知」の魔術が反応し続けている。こう、危機感知が反応し続けていたら、どのくらい危機が迫っているかわからない。 「鍵」を開き、次の部屋に足を踏み入れる。と、「明かり」の術が突如消えた。 「敵襲!」 首筋にちりちりした感触をおぼえ、反射的に身体を動かす。ウェルケの松明が、かろうじてその姿を捉える。子鬼だ。兄貴の剣がその子鬼を捉え、剣で切る付ける。 いや正しくは剣で叩きつける。子鬼は悲鳴をあげ、動かなくなる。 子鬼を一撃かよ。やるな兄貴。 俺は入れ墨に指を滑らせ、「明かり」を発動させる。「明かり」は、部屋の奥に留まるモノの姿をはっきりとする。 バッタと子鬼を混ぜて、大きくしたようなその姿は…… 「禍神の下僕!」ウェルケの悲鳴に近い声があがる。俺は入れ墨に指を滑らせ、兄貴の剣に「付加」を帯びさせる。 「ウェルケ、兄貴の援護を頼む」ウェルケは頷き、兄貴に向けて「鎧」を発動させる。俺は移動しながら、禍神の下僕の足元に目を向ける。 複雑な文字が円を象っている。やはり魔方陣か。ざっと見る限り二つの陣が施されている。 外側は「籠」「封印」そういう字が読み取れる。 では、その内側は…… 俺の背中に衝撃が走る。 しまった、禍神の下僕が、新たな子鬼を「召喚」し、俺を攻撃させたのか? 俺は倒れた。倒れながらも俺の目は「召喚」「門」という文字を捉え…… 気を失った。
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