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ありがとう
―――7月7日―――
七夕。
年に一度、織姫と彦星の会瀬‥。
切なくも美しい愛のストーリー。
今年も雨。
ぽつん ぽつん
降りだす雨粒の数だけ落ちた雫は美しく
煌めく星達は色とりどりに瞬き天の川を染める。
美しい音色と共に星達の囁きが新たな生命を生み出した。
その鮮やかで、美しくも切ない音色は、満天の夜空へ広がり静寂に包まれた闇の中に深く温かで柔らかな音色を響かせた。
大切な人と離れるのは辛い
心の底から何かが、引き裂かれたような痛みを伴い、計り知れない悲しみが絶え間なく続く。
―――時が全てを解決してくれる―――
そんな言葉が、ふと頭を過った。
誰しもが願う。
愛しき人の幸せを。
尊き命が健やかに育つことを。
でも‥尊き命も、けして永遠ではなくて
いつか
必ず
終わりが訪れるもの。
今思う。
―――幸せでしたか?―――
言葉を交わす事なく去ってしまった大切な人‥。
何も伝える事が叶わなかったけれど、心からの感謝と尊敬と愛は、今も昔も変わらぬまま私達、家族の心中の宝箱の中にある。
そして忘れる事なく永遠に生き続けて行くことだろう。
優しい眼差し‥大きな背中。
笑うと出来るシワも少しキツイ言葉も
大好きでした。
そして‥いつか、また会えると信じて。
一足先に天国で待っていてください。
いつか私が旅立つ日。
また向こうで会いましょう。
そして、お酒を飲み交わし他愛ない会話に花を咲かせましょう。
その日まで少しだけ
さようならです。
短冊に願いを込めて。
『父さんの幸せを心から願います。
ありがとう。貴方の娘で幸せでした。』
―END―
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