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天の川
高校1年生にもなって、星々を見つめているのはクラスでは俺くらいじゃないだろうか。
明日は七夕だが、雨の予報。よって今日夜空を見上げているが、想像以上に綺麗だ。天の川がはっきり見え、言葉では伝えきれないものを感じる。感動にも似た感情が湧き上がる。こういう時は田舎で良かったと思える。
こんなエモーショナルな気持ちになっているが、星の知識は全くない。高校1年生の男子なんてそんなもんだろう。
どれが何座か全然分からない。星座は無理やり描いてるとしか思えない。星二つをつなげてなんとか座とか言われても、こじつけにしか感じない。
しばらく眺めていたら、おそらく夏の大三角と思われるものを見つけた。
「デネブ、アルタイル、ペガ」
そう呟き、人差し指で指し、三角形をなぞった。当然どれがどれかは分からないので、順番は適当だ。そもそもあれが本当に夏の大三角かも確証がない。
それでも綺麗だなー、とか至って普通の感情を持ちながら見つめていた。
その時夏の大三角のうちの一つの星がどんどん大きく見えてきた。注視していると、どんどん大きくなっているように見える。というか近づいて見える。いや、実際に近づいている。それも俺に向かって。
「ん?」
近づいてきて分かったが、あれは人だ。
どうしたら良いんだろう。こんな展開予想してなかった。取り敢えずキャッチを試みよう。
展開がすごすぎて逆に混乱していない。
もう目の前に来た。
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