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真里菜は通りの向こう側から、FMコスモのスタジオを眺めた。初めて見る夜のスタジオだ。通りに面した大きな窓はロールカーテンが降ろされているが、白いロールカーテンが中からの光を通し、明るさが夜道に溢れ出している。
「こんばんは。お疲れ様です」
挨拶しながらスタジオに入ると、大学生でありながらFMコスモのディレクターをしている小松沢が「こんばんは。よろしくお願いします」と返事をした。
小松沢が機材の準備をしている間、真里菜はゲストを迎えるテーブルの準備をした。椅子を整え、バッグから紙包みを取り出す。
紙包みを開くと、中から鳥が出てきた。灯彩工房の2人からもらったプレゼントだった。
ひょうたんに羊毛フェルトと手染め糸を巻きつけて作られた鳥だった。ちょんと突き出たひょうたんのつるが、かわいいくちばしになっている。
FMコスモで新番組をやることになったと伝えたら、お祝いに作ってくれた。2人とももともとFMコスモのリスナーで、番組も聴いてくれるという。
スタジオのドアが開き、新番組のパートナーである結希が入ってきた。
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