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 ギャラリーの一番奥に、床まで届くほど長い藍染の暖簾があった。ひょうたんの柄が白抜きされているので、こちらが裕道の展示スペースなのだろう。  暖簾をくぐると、その先は暗い部屋だった。ひょうたんランプに明かりを灯して見せるためにかなり暗くなっている。  部屋に入るなり目を奪われたのは、鶴が羽を広げたデザインのランプだった。ひょうたんの細長くくびれた形に鶴の胴体が彫り込まれ、ランプから漏れる光が翼となって壁に写っている。 「すごーい、きれいですね」  結希が声を上げる。その他にも花や動物といったさまざまなモチーフがひょうたんに刻まれ、壁に美しい模様を映し出していた。販売されている商品には、ハロウィンのジャックオーランタンがたくさんあった。 「どれも素晴らしいです。お庭も拝見してよろしいですか?」 「もちろんです」  暗い部屋から明るい部屋に戻り、さらに外に出ると日の光の眩しさに真里菜は思わず目を細めた。 「ひょうたんも綿花も、ちょうど今収穫しているところです」  まず初めに果乃子が綿花を見せてくれた。ふわふわとした柔らかい塊にそっと触れてみる。これを糸として紡ぎ、草木で色を染めるのだ。 「染料もね、この庭に生えてる紫蘇を使ったりするんですよ。あとは自分たちが飲むコーヒーや紅茶の出し殻とか。手の届く範囲のもので色を染めるんです」  綿花だけではなく色を染める材料もすべてここにある。緑豊かな庭からさまざまな色が生まれている。
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