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いつも、一緒に ―side 宝 ―
{― side 宝 ―}
「宝くんだ! 電車一緒になるの初めて」
「朝からオーラがハンパない。コマチくんは一緒じゃないのかな」
「本当にカッコイイよね、同じ学校だったら良かったのに」
家から最寄り駅のホームで、声の主たちはとりどりの制服を着ている。恐らく近隣の中高生たちだろう。色めくような彼女たちの声に五式宝は苦笑し、同じ学校の生徒たちは彼女達を少し面白そうに見遣っている。
そこに軽やかな足音が響いてきた。
「間に合った! 宝っ」
ホームに駆け上がってくる音とともに、今朝一番に見たかった満面の笑顔に鼓動が反応する。
「良かった葉琉、今日も好きだよ」
すぐさま溢れ、口を突いて出てきてしまう想い。
「うん、おはよう」
宝の“好き”は、葉琉にとって幼い頃から交わされる挨拶だと思っているらしい。
アパートの隣部屋に住む古町葉琉とは、幼馴染と言うより兄弟のように育った。
互いの母は共同で雑貨店を営む。両家ともに父が居ないので、葉琉の姉・満琉と三人、協力し合う二人の母に育てられたと言っても過言ではない。
「おはよう、葉琉。あれだけ早く寝ろって言ったのに、ほら」
昨晩遅くまでゲームをしていて、なかなか寝なかった葉琉は、案の定、朝から迎えに行っても部屋から出て来ず、部屋を覗くと未だ夢の中。起こしても起きてくれず、自身が遅刻するわけにもいかないと、心配しつつ置いてきた。
間に合えばと、駅前のコンビニで買っておいたバターロールを一個手渡す。一口で放り込み終わり、もぐもぐと口元を動かし始める。宝はすかさず、葉琉の手にミニサイズのカフェオレを乗せた。
「ありがと。だって魔王倒さないと次に進めないだろ」
一気に飲み終えた葉琉に二個目のバターロールと、健康優良児の男子高生はそれでは足りないので、エネルギーゼリーを渡しておく。
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