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キラリと何かが光った。 その光を探すべく、(かすみ)は空を見上げた。 「……」 無言のままに、目を凝らして空を見る。しかし、そこら中キラキラしていて、目当てのものが見つかる気はしない。当然だ。ここは林間学校で来た山奥で、天の川がきれいに観測できるほどに星空が広がっているのだから。 「霞。何してんの?」 空をジッと見つめる霞に、親友の光夜(こうや)が声を掛けてきた。消灯時間を過ぎてから抜け出してきた霞は、光夜の存在に驚いた。しかし、それを表情に出すことはなく、また空に視線を戻した。 「今、何か光ったんだ」 「……光ってる星なんて、大量にあるけど。それこそ、星の数だけあるよ」 光夜は満足気にドヤ顔をしている。上手いことを言えたという顔だ。しかし、霞は光夜に目を向けない。 「光夜。その星の中に、今は存在しない星の光があるかもしれないって知ってる?」 「と、当然だろ! 授業でやったし!」 霞は、ようやく光夜に視線を向けた。ずっと上を向いていて疲れた首をさすり、その場に座り込んだ。 「なにやってんだ?」 「首が疲れた」 そういった霞は、そのまま後ろに倒れた。
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