その三

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その三

 中学も三年になると私も思春期の流行病、いわゆる反抗期で父に逆らってばかりいた。父はあまり私のやる事に口出しをする事は無かった。ただ、私が悪い仲間と連んでお酒やシンナーに手を出した時には黙っていなかった。私を仲間から引き剥がすように連れ帰った。  その頃の事である。私が自分の血液型がB型、父がA型、母がO型だと知ったのは。おかしいなとは思ったが、反抗期で親の事より自分の諸々の不安憤懣で手一杯だったので、気にも止めなかった。  思い起こすと、父は何かしら私をよく褒めてくれた。料理を作った時も美味しいと言って食べてくれたし、テストで良い点を取った時なども『頑張ったな』と褒めてくれた。  私の下着を父の下着と一緒に洗わないでと言った時なども苦笑いするだけであった。  ひいき目でなく、本当に温厚で優しい父だった。
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