200人が本棚に入れています
本棚に追加
episode 34
「俺は・・・俺は理人さんが好き。大好きだよ。だから、一緒にいてほしい。これからもずっと、俺のそばにいてほしい!」
吐き出したと同時に、頬を雫が伝う。
あとからあとから流れる涙は、静かにゆっくりシャツの染みを広げていく。
龍也に任せる、と言ってくれたのなら、この思いを受け止めてほしい。
出会ってから、毎日理人のことを考えていた。
会えない時間が辛いと初めて知った。多分これが本当の初恋なんだと思う。
今まで過ごした時間が思い出され、その温かい記憶が胸を締め付ける。
理人が答えを出すまでの時間が、とても長く感じる。
(理人さん・・・理人さん・・・!)
理人の答えを聞くのが不安で、終わってしまうのが怖くて体の震えが止まらない。
「ふっ」
しばらくじっと手を握り締め龍也を見つめていた理人が、小さく息を吐くのが聞こえた。
恐る恐る顔を上げると、優しい笑顔で自分を見つめる理人と目が合う。
「ありがとう、龍也」
そう言って涙をぬぐい、優しく口づけられる。
久しぶりに与えられる唇へのキス。
ゆっくりと深くなるキスに頭がしびれる。
「龍也。愛してるよ。これからもずっと一緒にいよう」
頬を撫でながら目を見つめ、真剣な顔でそう告げられる。
「理人さん・・・」
理人の胸に顔をうずめて抱き着くと、それよりも強い力で抱きしめ返してくれる。
触れ合えずにいた時間を埋めるように、何度も何度も繰り返しキスをする。
もう大丈夫、これからも一緒にいられる。
そう思うと安心して、また涙が溢れてくるのを理人は丁寧に拭ってくれる。
龍也が泣き疲れて眠るまで、優しく抱きしめて頭を撫で続けてくれていた。
最初のコメントを投稿しよう!