ハル

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 「うへへぇ」 有名人気取りな余韻が残り、ニヤつきから覚めない。 「きもちわるいよ?」 「うっさいなー!」 そして、心ないハルの言葉遣いで目を覚ます。  恐らくらここは長老の家なのでしょう。 と言っても、何処にでもあるような平凡な家で、6畳ほどのこの部屋も特に変わった様子もなく、この世界だからといって、家が変身するとか、いきなり空高く飛び去るとか、そんな特別な仕掛けも何もなさそう。 あたりを見回していると、座布団に座る長老は、咳払いをひとつ。 そして話しをはじめた。 「すみませんな、あのもの達はユキさんが大好きなんじゃ、そこのところ、なんとか宜しく頼みます」 頭を下げる長老に腕を振る。 「いえいえ!わたしは全然大丈夫ですよ!」 「あぁ。そうでしたら、ひとつお願いがあります」 そう言って座布団から立ち上がり、猫背な姿でこちらに向かってくる。なんだか今にでも倒れてしまいそうな感じ。 少し心配なので、長老の方へ腕を向かわせる。 「長老、ゆっくりでいいですよ」 長老には言葉遣いがなっているハル。わたしにもそのくらい敬語で話して欲しいものです。 「あぁ、ユキさん。あああ…」 ゆっくりと覚束ない足取りで、わたしの手に触れる長老の白い手。 その瞬間に、長老は力尽きるように倒れ込んだ。こう見てみると、猫背なこともあって、わたしよりも背が低く、それに白い。まるで小さなおもちゃ。  え? 困惑。 「膝枕してもらいたいのじゃ」 そう駄々をこねるように、座布団に正座していたわたしの膝に頭を付けた。 「えぇっと。ハルこれは何の意味があるのかな?」 そう聞いたけど、ハルは額に手を当てて呆れるだけだった。 「意味なんてない!わたしの願い事じゃ!お願いじゃ!」 頭を膝下にすりすりされて髭が当たりくすぐったい。思わずに笑ってしまう。 それでも、あまり悪い気分ではないのでこのままにすることにした。 長老の頭を撫で撫ですると、猫みたいにゴロゴロ唸っている。 「じゃあこのまま話すけどいい?」 突然にかしこまるハルの顔を見ると、何やら真面目な表情を見せるので、長老を撫でながらもきちんと話を聞くことにします。 「わしも聞いとるぞー」 「じゃあ、まず一番気をつけないといけないことを話すよ。いや、やっぱり簡単に話したほうがいいかな。」 「簡単なほうでお願いします」 難しい話は好きじゃないので不安です。 それと、やっぱり集中できないので、長老の腕をとって元の位置に戻して座らせた。 「ごほんっ」とひと咳ついて長老も気を取り直して畏まってくれた。
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