ハル

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 外に飛び出す。 静かだった部屋の空間とは打って変わって、胸が高鳴るいい空気。 街もわたしを歓迎するみたいに賑わっている。 だから、わたし自身も気分が踊る。 その場で一息ついて、伸びをしてみるともっと気持ちいい。 「ユキさん」 「ふぅぇ?」 伸びをしている最中、真下あたりから名前を呼ばれて変な声を出してしまう。 「ユキさん。ハルが怖かったの」 下を見ると白の女の子。 黒で縁取られた目と口はぐるぐると濃いベソを描いていた。 それと、悲しんでいるのが伝わってくる一番の理由は、俯いた白の少女のが震えてるから。 「そっか、よしよし。ハルかまどこに行ったかわかる?」 頭を優しく撫でながら尋ねると、俯きながら門の方へ指差した。  俯く少女にハルを連れて戻ると言い残して、走って門の方へ向う。  息を切らしながら、なんとか門へたどり着く。なんだか気分が悪い。 振り返ってまた元の場所へ戻りたい気持ちがあるのは仕方のないことだけど、今は女の子のためにも、わたしのためにもこの門を潜って、きっと先にいるはずのハルと、きちんと話をしないといけなそう。 「ひらけー、ドア!」 と言っても開くはずもない門を蹴飛ばす。 後退りして仕切り直す。 「ひらけー!もんっ!」 グワァー。 「開くんかい!」 悲しい事に、1人でツッコミを入れている。 当たり前にも笑い声はしないので、恥ずかしくなったので、開いた門を静かに潜った。  景色は変わらず花畑。 耳を澄ます。 匂いを嗅ぐ。 雨が降りそうな匂い。 頬に感じたほんの少しの冷気と音と匂いを頼りに向かう。ハルの街はあれほど心地よかったのに、少し進ゆでいくと、わたしの向かう空はどんよりと曇っていた。
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