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「んぅー!」
凄まじい勢いで、肩まで伸びる自分の髪を巻くって洗ってると、泡が目に泡が入る。
「め、目がぁー!」
嫌なことも辛いこともさっぱり流したい。
泡を流して体を洗い終えてから湯船に浸かる。
「ふぁー」とため息をついて壁に寄りかかり目を閉じる。
「んふふーふーんんー」
鼻歌がよく響く。
「へたくそ、パジャマ置いとくよ」
「うるさいー!ありがとっ!」
わたしの行動にいちいち口を出すハルの影がお風呂のドア越しに映る。そちらを睨みつけながらもお礼を言ったあと、遠ざかる足をとを聞いて再び元の体制に戻る。
そしてため息をもう一つついて、身体が落ち着くまでゆっくりとお湯の暖かさを感じていた。
お風呂から上がって、髪と身体を拭いて用意されたパジャマを着る。
「普通のパジャマだ」
薄ピンク色のハルと同じ質のパジャマ。少し大きめなので、袖が手を隠してしまう。
廊下は出ると涼しい気温を感じる。
まだ完全に乾いていない頭皮にその空気が触れて気持ちいい。
トントン。
「いるよー」
礼儀の正しいわたしは部屋に入る前にノックをします。了承が出たのでドアを開けると、ハルはベットに横になり目を瞑っていた。
「ハルくん眠いの?」
「疲れただけだよ、ユキは眠そうじゃないね」
「さっき寝てたから」
辺りは既に暗くなっていて、部屋から街を覗くと街灯が照らされている。
隣のお家もお店もまだやっている。
その前に、いったい今は何時なんでしょう。
「ユキ、歩きに行こうよ」
「うん!行こう!」
こう言うイレギュラーなイベントは大好きなんです。
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