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スタッ、スタッ。
温まった身体に心地いい風が撫でてくれる。
見知らぬ街の夜を2人隣り合わせに歩くと、さっきの部屋での出来事を意識してしまって腹が立つ。
「なんか怒ってる?」
「怒ってませんー」
鈍感なんだかよくわからないハルとわたしの距離は鈍感。
こんな空気が澄んでいるのに星は無くて、門を潜ればあかりの届かない街の外は暗闇が続く。
そんなことお構い無しに、ハルはどんどん暗闇の方へ歩き続けているので、わたしは心配になります。別に怖いわけじゃないです。
「もう少し奥いくけど、だいじょうぶ?」
「ぜんぜん、平気だよー」
「じゃあその手はなんなのさ」
「いや、こう言うの好きかなって」
「好きじゃないから離してくれ」
振られた手をぎゅっと離さないように締めつける。
そんなわたしにハルは気を遣ってくれているのか、黙ったままわたしの怯える足に合わせて、一緒に進んでくれた。
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