出発点

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出発点

真っ暗な視界。 だからここは、真っ暗な空間。 頭の中が回っている。 絵の具の黒と白の液体が回り続けてるような頭の中の感覚。 だから真っ暗じゃない。 黒の中には混ざらない白がほんの少しある。 ほんの少しだけ白が見える。  今日は疲れていないはずなのに体を押し付けられるように眠くて、このままだと奥深い暗闇に引き込まれてしまいそう。 でも、そうはならないように何か考え事をしている。でもそれは、今この瞬間だけじゃなくて、毎日どんな瞬間も、状況も、何かを考えているような気がする。 そんな重たいことを考えていれば、息が何者かによって支配されてしまっていて、不規則にリズムをとりはじめている。そんな苦しさを感じる。  真っ暗な空間で心臓がどのあたりにあるのかもわからないのに、大きな鼓動。 これ以上苦しさを味わいたくないから寝よう。 「おやすみぃ」 一人の部屋。誰もいないこともわかってるのに、毛布にくるまって呟いた。 布団の暖かさはわたしの体温の反射。 部屋の寒さをごまかしてくれていた。
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