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VOL.2 鮫
生まれも育ちも違う村上と佐藤の付き合いは大学時代からだったが、出会ったその日から、まるで小学校からの同級生のように二人は意気投合時した。
以来、十年ほどの月日が経つが、その頃からの二人で過ごす際の居心地の良い雰囲気や関係性は変わってはいない。佐藤が話の腰を折るのはいつもの事なので、怒るわけでもなく村上は話を聞く。
「あの子はどうなった? 何ちゃんだっけ? あー、なんだっけ? ほんと出てこないな…」
「ああ」と村上は歯切れの悪い返事をする。
「なんだよ。ああって。あ、そうだ、葵ちゃんだ。最近話に出てこないけど、上手くいってんの?」
村上は返事をせず、テーブルに置いてある煙草を取り火をつけ、コーヒーを啜った。それを見て佐藤はすぐに勘付き、うな垂れる。
「はあ? そのリアクション、マジか? もう別れたの? 何があったのさ?」
村上はふぅと、煙吐き、まるで推理小説の主人公が犯人を突き詰めたかのような真剣な顔をした。
「佐藤。俺は、前世鮫かもしれない」
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