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VOL.1 バック・トゥ・ザ・フューチャー
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」
「1985年12月7日」
「スター・ウォーズ」
「1978年6月30日」
得意げな顔で男が質問に答えていく。
「じゃ、ニューヨーク1997は?」
「1981年7月10日。あの映画はーー」
「いいよ、映画についての解説は。村上、その特技凄いんだけど、いったい何の役に立つのさ?」と喫茶店の席の向かいに座っている佐藤が呆れた。
「意外と役に立つもんだよ。合コンとかの席で、いいきっかけ作りにはなる」
「それだけの為に大切な脳を使うのは意味あるの?」
「意味? 人生なんて無駄なことだらけだろ。いや、無駄なことこそ意味がある」と自信満々に村上が言う。
「なにそれ? 分かるような分からないような。あ、それよりさ」佐藤は村上が何か得意気に話し始めると、決まって話の腰を折る。
生まれも育ちも違う村上と佐藤の付き合いは大学時代からだったが、出会ったその日から、まるで小学校からの同級生のように二人は意気投合時した。
以来、十年ほどの月日が経つが、その頃からの二人で過ごす際の居心地の良い雰囲気や関係性は変わってはいない。佐藤が話の腰を折るのはいつもの事なので、怒るわけでもなく村上は話を聞く。
「あの子はどうなった? 何ちゃんだっけ? あー、なんだっけ? ほんと出てこないな…」
「ああ」と村上は歯切れの悪い返事をする。
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