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ブランク・マキナと言う存在は、どうやら自分自身が思っているほど誠実で生真面目な性格はしていないらしい。そう自覚すると、何故グルガンに言えてその逆が出来なかったのかを理解した。
「そうか。我は心のどこかでお前のせいだと思っていたのだ」
「わ、私のせいとは……?」
内側の声を断片的に口に出されたところで、ルゴールドには全く内容が見えて来ない。しかし誠実であれと辛抱強くブランクが喋り出すまで待っている健気さにも後押しされ、ブランクは首を少し回してルゴールドと向き合った。
「ボルトガードが解散した。原因は主に二つ。マキナが天家を降りる決断をしたことと、もう一つは我がグルガンに愛想を尽かされたことだ」
「……!」
待ちに待っていた全容だが、その衝撃でルゴールドはパチリと大きく瞬きを下後、暫く目を見開いて固まっていた。
「遂に、マキナも表舞台から去る時が来たのですか」
後者の話題に自分から触れることを恐れた面もあるが、何よりマキナ家と深い因縁を持つ立場であったルゴールドは、しみじみと感慨に浸りながら今までのことを思い起こした。
「血生臭い昔話しかないですし、好敵手を名乗って綺麗ごとにまとめようなんて気もないんですが、それでも長い付き合いの相手であったと言うことに変わりはありません。決断をしたのはどちらですか?」
「祖父上だ。エレボスの件が片付いて地位を譲る意向が湧き、そして何より父上の行いを見過ごすことを止めることにしたからであろうな」
「確かに龍王と癒着してやりたい放題できてましたからねえ。そもそも、あの気質で何故見逃されていたのか分かりません。強気な性格ではないでしょうが、あれだけのことに目を瞑れるほど図太い神経の持ち主ではなかったと思いますが」
「それは話すと長い……が、長い話をするには御誂え向きな場なのかもしれぬな」
この際、ブランクは洗い浚い話してしまうことに決めた。
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