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「さて閑話休題だ。私は新人二号(青山)君から受け取った資材を使い、拠点を都市化させる。これで私は1ポイント追加。勝利条件の10ポイントまであと3歩と言う状況になったねえ」
その言葉に危機感を覚える者はいない。終盤であるこの状況では7ポイントの越光は最下位であり、8ポイントで同率二位となっている青山チームとレピンスチーム、そしてあと1ポイントで勝利となっているトップの龍希には遠く及ばなない。青山もそれを理解しているからこそ越光の交渉にのみ応じる姿勢を見せた。
しかし、自分に最も必要だった資材欲しさに鉱石を渡してしまった青山は不穏な空気を感じていた。
「私にはまだ鉱石カードが余っている。これを他二枚のカードと一緒に捨てることで、『発展カード』を引かせてもらうよ」
越光が手を伸ばした山札の中には単純な資源とは異なる様々な特殊効果を持つカードが眠っており、これらの使い方次第では戦況を変えることも可能である。越光は序盤からこのカードを集める戦術を取っており、現在最下位なのは発展カードに資源を割いているからである。
但し発展カードは購入した次の手番からしか使うことができないため、今越光がどれだけ強力なカードを引こうとも脅威にはならない。あと一巡あれば、二位の青山達や龍希が勝利することはほぼ確実と言う状況である。
「ふうん、これではないねえ。ではもう一枚発展カードを引くとしよう」
「な、何だって!?」
手札を全て使い切ってしまった越光を見て龍希は目を丸くした。
「どうしたんだい局長君。確かに発展カードは購入した次の手番から、それも一枚だけしか使用できない。しかし購入に関する制限は無いのだろう?」
「いや、それはそうだけど……だけど、発展カードを買うための鉱石カードが二枚あるなら青山から鉱石を貰う必要はなかったじゃないか。こんな終盤に発展カードは手遅れだし、そのために資材を青山に渡して負ける可能性を上げるなんて……!」
「彼に資材を渡さなかったところで君が勝つからどうでも良いねえ。重要なのはこの一枚、それを引くことだ」
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