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それは自分に可能なのか、そもそも原理として成り立っているのかも分からない。しかし今、思い付いたのならやるしかない。
(これくらいできなくて、何が魔法か!)
その強い意志が魔力には大きく作用する。人間はドラゴンより魔法を扱う能力は低いが、時として意志の力がその差を埋める。有子は脳内に描いた自らの理想を魔力と共に爆発させた。
「これが最後の賭け……【圧倒(シュープ)、エクスプロード】!」
前半に唱えたのは念力の塊をぶつける初歩的な光属性の魔法であり、有子がこれまで使って来たものである。通常であれば狙いの定めやすい指先や目から放つものだが、有子は有らん限りの力を振り絞ってそれを全身から放出した。
「まだ新しいものを見せてくれるのか!これは追い詰めるのがクセになっちゃうね!」
「ほざいてなさい!」
有子の全身は頭頂から足の指までくまなく魔法のエネルギーに覆われており、白く濁った球体の中で浮き上がっていた。壁を設ける結界系の魔法とは異なり、原始的なエネルギーの放出が延々と続いているだけであるため対抗する魔法を打ち込んで解除するなどと言った駆け引きも存在しない。
燃費は魔法史上においても最悪の部類に入るが、あと数秒持ち堪えれば良いと言う今の状況においては最善手となる。自分が力尽きる前に、或いはそれと同時にでも龍希達が駆け付ければ勝利には変わりない。
「これは流石にどうしようもないなあ。諦めるよ……『君のこと』はね」
ライズが苦し紛れに放った触手の群は全て有子の球体に弾かれたかに見えた。しかしその狙いは球体ごと有子の視界を覆い撤退を確実なものとすることである。
その植物が退いた時、ライズの姿は消えていた。
越光と共に。
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