Hello World

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『……お前今なんて言った?』 『羽桜龍希が受け付いた龍王の魔法をどうやって攻略したのか調べて来いって話だったから、僕が前から興味を持ってた人間を攫って聞き出そうとしたんだよ。そうしたら思いの他抵抗されたのと想定外の事態が起こってね。撤収することにしたんだ。これ、お土産ね』 ライズはそう言って、越光をベッドの上に下ろした。 『復唱どうも。ところでもう一度確認するが、その土産って言うのはそこに素っ裸で転がってる人間の女なのか。良い土産話ってワケにはいかないのか?』 『いやきっと興味持ってくれると思うよ。何せ、この人間はルゴールドの血を取り込んでるんだから』 『それ自体は確かに面白そうだが、今はそう言う話じゃねえだろ』 『まあまあ。聞き出すのもいつまでにって言われてないでしょ?任務は失敗で終わったわけじゃないよ。一旦立て直すために帰って来ただけ』 その後ライズは「さてと」と言いながらわざとらしく手を叩き、踵を返した。 『何処に行くんだ』 『炎の国で面白いことができそうだから、ちょっとそっちに行って来るよ』 『任務に戻るんじゃねえのかよ』 『今戻ったって警戒されちゃってるだろうし、間を開けた方が良いよ。急ぎなの?』 『まあ、俺の推測が正しければ羽桜龍希は龍王の力を意図的に封印してるか手放している。龍王を相手にするのは羽桜龍希よりもずっと後だ』 『じゃあ僕はもう一つのお楽しみに行ってくるよ。国が一つ消えるところ、見に来ても良いんだよ』 『お前もとんでもないことやろうとしてんな……そうやって好き勝手やってる内に自然とこっちに利が出てくるから放って置いてやってるわけだが、相変わらずワケが分からねえ奴だ』
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