Hello World

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その言葉にとても強い引っ掛かりを感じたが、活動に興味がないと言う部分が本当であればその掟についても恐らく疎い。龍希の父親がその一員であったと言う核心は察知されない可能性は低いと言う希望が持てる。 しかし、この一族の話題は越光が全く思いもしなかった方向へと進むことになった。 「ああ、そうか。一族ってことなら合点が行くな」 「……何がだい」 「お前、一族の血を引いてるかもな」 その一言を聞いた時、後頭部を殴られたかのような強い衝撃が越光の内側に走った。 今まで一族とドラゴンの血は全くの他人事であった。ドラゴンによって人生を大きく歪まされ、その存在を長らく追い求め続けて来た。それは正に越光にとって灯台下暗しの発想である。 「私が一族の……ドラゴンの血を引いている?」 「ああ。人間を始めとする殆どの生物は、ドラゴンの血を取り込むと身体が変異して暴走状態に陥る。お前もそうなったらしいが、その途中で理性的な行動ができるようになったとも聞いている」 アッシュが述べた通り、越光は戦闘力では敵わないライズを退けるために、結界の外側にあるガラスを破壊して龍希達に異変を知らせると言う策を取った。無我夢中での行動ではあったが、ただ暴走するよりも遥かに戦略的でありその報告を聞いたアッシュはその点に興味を持っていた。 越光自身は自分に思考力が残っていたのは摂取した血液が極少量であったことが理由だと考えていたが、それでは今の状況と矛盾するとアッシュは言った。 「そもそもお前が今そんな調子で喋れていること自体がおかしなことだ。指輪がない限りドラゴンの血を抑え込むことはできないからな。正直ライズが大ウソほざいているんじゃないかと疑ったりもしたが、もしドラゴンの血でドラゴンの血が抑えられるなんて話があるならこれは面白いことになりそうだな」
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