集約

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「この有り様で何故そんなことが言える。仲間はどこだ……!?」 少し奥を覗き込むだけで、固まりかけている溶岩が内部を埋め尽くし跡形も残っていない本拠地の凄惨たる様を見ることができる。しかしリーダーはまるでそれが見えていないかのような朗らかな態度でコールを窘めた。 「まあ、まあ。そう焦らずに。貴方の仲間は全員無事です。お望みとあらば、再会することはとても容易い」 正面から気安く肩を叩き場違いなほどにこやかな表情を浮かべるリーダーに対し、次第にコールは怒りを通り越して困惑の感情が芽生え始めた。また龍希達は更にその先にある警戒心を働かせており、リーダーが自分の腰の後ろに手を回した瞬間を見逃さなかった。 「何をしようとしている!」 ブランクが光の翼を伸ばしてコールを包み、リーダーの存在を拒絶することで弾き飛ばす。怯んでバランスを崩した表紙に、その手の中に握られた手枷が三人の目にハッキリと映った。 「お前今、コールのことを捕まえようとしたのか」 「誤魔化しは通用せぬぞ」 「わ、私を捕まえるだと……?」 コールを護るように前に立ち、リーダーを完全に不審な人物とみなしている二人に対しコール本人はまだ自分が国軍に拘束される寸前だったと言うことを認識できていなかった。 「そりゃあ勿論、炎の貴族は全員捕まえろと命令が出ているからねえ」 「……これまでの脱獄犯狩りや、一方的な私刑に対する罪を国軍が重く見たのか」 「ご名答!」 ブランクの言葉でようやくコールも事の重大さに気が付いた。それ故にリーダーの口調が変化し化けの皮が剥がれていることに思考が行き届かなかったが、それについても龍希とブランクには心当たりがあった。
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