集約

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「ブランク、龍希、それとコールも!やっぱりここだったか!」 バレットが入り口を覗き込み再会を喜びながら駆け寄って来たが龍希達は先ほどの一件が原因で警戒を解き切れない。ブランクが機転を利かせ、ライズが使えない炎の魔法を使わせることでようやく安心することができた。 「そのライズって奴に出し抜かれたって訳か。あの魔法が破られるなんてな……」 「正直なところ、この翼を過信していた部分はあった。それが必ずしも通用するわけではないと思い知らされた以上、単身で奴等を追うことは無謀だと言わざるを得ない」 「その攫われた越光って女とは会ったことはないが、ここまで来るってことは大切な仲間なんだろうな」 「ああ。説明すると長くなるけど、俺とも少なからず縁のある人だよ」 「俺も遂にその手の話題に置いて行かれる時が来たか。時間が経ったんだなって実感するぜ……まあ、それはそれとしてだ」 バレットは会話をそこで一旦区切り、結晶石を使って他の場所を捜索していた仲間に撤収の指示を出した。しかし此処は本来炎の国であり、撤収と言う単語が用いられるのは相応しくない。そのことについて尋ねると、バレットは移動中に話すとだけ返して直ぐ飛び立つように促した。 「ブランク、急かしといて何だがその刺し傷は大丈夫なのか?」 「傷そのものはどうと言うことはない。傷そのものはな……」 「そうか。なら本題に入らせてもらうが、今俺達も結構ヤバい状況になってるところなんだ」 「先ほど我々がいた本拠地は見るも無残なことになっていたな。敵襲があったのか。それとも脱獄犯が暴れたのか?」 「脱獄犯は国軍に無事引き渡した。今となっては、それすら間違いだったとさえ思うがな」 「どう言うことだ。まさか……」 ライズが化けていたのは国軍の主要人物。その事実を知っていれば、ブランク達が最悪の事態を想像するのは難しいことではなかった。
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