集約

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「なあブランクよ。これはもういよいよ、やるしかないんじゃないのか」 やたらと抽象的なワードを並べるバレットであったが、ブランクはその意図を汲み取れている様子であった。バレット表情は危機感や高揚感など、様々な感情が入り交じり一言では形容できそうにない。しかし一つ確実に言えることは、二人の距離は相変わらず友のそれだと言うことである。 「そうだな。少なくとも越光を取り戻すまでは共同戦線だ」 「ケチなことを言うなって。ここまで来たらシノバズを壊滅させてしまおうぜ。不意打ちされたとは聞いたが、お前達がいれば百人力なことには変わりねえ」 「確かに諸悪の根源なら絶つに越したことはないがな。しかし我々の目的はあくまでも仲間の奪還。それを巻き込むような手荒な真似は御免被るぞ」 「分かってるって」 ブランクは勿論のこと、バレットとリスキニアが率いる炎の貴族達からの支援を得られる状況は龍希からしても非常に心強いものであり、また今までの交流が功を奏し貴族側からも異を唱える者は出ていない。 かくして協力体制の構築は速やかに行われたが、事態が大きく好転するには至らなかった。 「さて。力を貸してもらうからには当然こっちも何かしらの貢献はしたいところだが、情けないことに奴等の居所は以前掴めてない」 「これまでにもかなり大規模な情報収集をしていたが、それでもまだ尻尾すら掴めぬのか」 「地下街の連中も、結局元締めには逃げらちまったからな。確保できたのは小粒の悪党だけ。一応聞けるだけ聞いてみたが案の定何の進展もなかった」 「そして、せめてもの付加価値を見出そうと交渉材料にしたらこのザマか。骨折り損とは良く言ったものだな」 「返す言葉もねえ……と、言いたいところだが丸っ切り悪いこと尽くめってワケでもない。お陰でこの二人と合流できたんだからな」 バレットは突き立てた親指で後ろにいるテルダとジアを指した。
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