集約

18/22
前へ
/932ページ
次へ
テルダは炎の貴族の頂点であるりフォール家に生を受け、没落を経験した後にエルゼから慈悲を掛けられ龍王の護衛を務めていた頃に龍希達と関係を持った。その後はライズに唆され当時臨時の龍王を務めていたガルドを襲撃し罪人となったものの、脱獄騒ぎを収束させるための一手に救い上げられる形で再び世に出ることを許された。 しかしまたしてもライズが暗躍したことによって、国軍と炎の国は対立することになってしまった。テルダは拠り所である国軍よりも家族であるリスキニアを選んだことで今この場にいるが、現在に至るまでに所属する勢力や自身の立場が目まぐるしく変化し疲弊している様子が見て取れる。 願わくば、此処に根を下ろしたい。いい加減に落ち着きたい。そんな想いからか、ブランクが国軍に対して働きかけをすると言う提案を受け入れきれなかった。 「俺はもう国軍に見切りを付けてるんだ。こっちのためを思ってのことならやめてくれ」 「思い上がるな。お前にもう一度国軍の席を作ってやろうなどというお節介は考えていない。王都にいる祖父上や父上が心配なのだ」 「国軍にシノバズの一員が堂々と出入りしてる状況なんてどう考えてもヤバいからな。そのままにして良い筈がない」 龍希も体勢を立て直し次第、ライズを追って国軍に戻る心づもりであった。 「まあ、確かに言われてみればその通りだな。だが俺はもう右往左往はしたくない。逃亡者のレッテルを剥がせる好機があったとしても此処にいるつもりだ」 「そうは言ったって、罪人の立場じゃ色々不便はあるんじゃないのか。その首の紋章だってそうだろう」 ルゴールドを始めとする特別釈放の待遇を受けた者には必ず付与される措置は未だに健在であり、これがある限り真の自由は手に入らない。それでも贖罪のチャンスを捨ててしまうのかと龍希は改めて問い掛けた。
/932ページ

最初のコメントを投稿しよう!

222人が本棚に入れています
本棚に追加