集約

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結局、バレットはなし崩しに龍希とブランクの馴れ初めを語ることになった。そしてバレットからの視点では不明な部分も多いため、当人達も満更でもない態度で補足した。 「成る程、確かにそれと比べたら俺達なんてかなりしっかりやってる方だ」 「おい」 肝心なことは切っ掛けではなくその後であるとブランクは再度釘を刺した。それも、テルダではなくジアの方を向いてそう言った。 「例え指輪でなくとも、神具を交換すると言うことはそれなりの意味を込めているのだろう」 「ああ。勿論だ……」 ジアは少し頬を赤くしながら頷いた。テルダと特別な関係、つまり婚約を取り交わす意思があると宣言した。それを聞いてテルダも照れ臭そうに顔を伏せ、バレットとリスキニアも他人事らしからぬこそばゆいような表情を浮かべた。 しかしブランクはより一層険しい目付きでジアを見据えた。 「ならば、ただ添え物のように振舞うような真似は許されぬぞ。何処までも付いて行くと言う覚悟は必要だが、妄信すれば良いと言うものでもない。伴侶が道を踏み外したら、共に落ちるのではなく殴ってでも連れ戻す強き心が必要だ」 無論、ブランクの忠告は自らの過ちとそれを糧に立ち直った経験をそのまま絞り出して抽出したものである。その言葉は何よりも重く、ジアは頷いた首を元に戻すだけでも抵抗を錯覚した。 「その節は大変なご迷惑をお掛けしました……」 「牢の外に出ても反省は続けています……」 しかし下げた頭を元に戻せるだけジアは真っ当である。ジア以上にその言葉が重く伸し掛かったのは道を踏み外した過去を持つ龍希とテルダであった。命じられるまでもなく縮こまり、針の筵状態となっている。 バレットは嫁に頭が上がらない二人を見て、自分も将来一歩踏み出すにはそれなりの覚悟が必要かもしれないと内心緊張した。
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