謀略の発芽

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かくして、龍希とブランクは元国軍のテルダ達を取り込んみ更に勢力を拡大した炎の国と結託し、打倒シノバズを掲げて行動を開始した。 しかし共同戦線は一旦据え置き、龍希とブランクは治療を終えた後に直ぐ様王都へ向かうことになった。その目的は言わずもがな国軍に入り込んでいるライズの排除と、その先にある更なる勢力の集約である。 『本当にそんなことができるのかよ』 『上手く行く確証はないけど、やってみる価値は十分にある。それに成り行きでなく国軍に背を向ける覚悟は既にあるんだろ?ダメで元々ってやつさ』 『それは、そうだが……』 テルダとジアは龍希の提案に感心しながらも若干及びの反応を見せた。 龍希は国軍からライズを排除する際、その存在を公にして国軍全体に知れ渡らせる心づもりであった。そうすることで、ライズによって作られた国軍の内部にある偽りの情勢を覆すだけに留まらず一気に反転攻勢を仕掛けることも可能になると考えていた。 「そもそも国軍の中にシノバズへの好感を持ってる奴なんていない。自分達が踊らされていたと知れば、きっと奮起してくれる筈だ。そのままシノバズを国軍全体で追い詰める流れになってくれれば、テルダを復帰させる道も開ける」 共通の敵を見据える国軍と炎の国が手を組むことができれば更なる理想だが、それはライズの扇動を抜きにしてもバレット達が法に背く行いをしたことは事実であるため体裁上国軍側が積極的になる公算は小さい。そこでテルダを『炎の国から派遣する』と言う形で国軍に一時的に戻すことで、非公式な連携の起点としながら不名誉な地位も払拭できる。 龍希はこのゴールを見据えながら、王都に足を踏み入れた。
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