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静かなせめぎ合いが終わりを迎え、遂に火蓋が切られた。もはや敵意を隠す必要もないため、ギランハーツは公然とブランクに指を差す。
「使ったな能力を。反抗の意志ありだ」
「あるからどうした。我は貴様が下した不当な命令から身を守っているだけだ」
「ッ……」
ギランハーツはここに来てようやく計画が狂わされたことに気が付いた。
今までは明言せずひたすらに圧力を掛け、ブランクが耐え切れずに防御行動を起こすタイミングを待ち構えていた。しかしブランクの咆哮によって逆に自分が圧力に屈してしまい、自分から先に動いたことでブランクに魔法を使わせる口実を与えてしまった。
「貴様如きに他人を陥れるなど無理な話だ。一時的に順調だったとしても、必ずどこかで破綻し無様を晒すだろう」
「調子に乗るな、このガキめが……!」
「そこまで言うのなら、チャンスを与えてやろうではないか」
ブランクは龍希に少し離れるように指示し、今から自分のやることを見守っていて欲しいと言うことを告げた。
(ライズのように策を凝らさない限り、この光の翼は破れない。俺が何処に立っていても同じ筈なのにわざわざ離れろと言うってことは……)
言われた通り背中側に移動しながら、龍希はブランクがやろうとしていることを想像し危機感を募らせた。
「この翼は我が許可したもの以外の全てを拒絶する。あらゆる武力も魔法も無意味だ」
「そうみたいだな。だがいくら強力な魔法が使えようとも、その身が堕ちれば俺の目的は達せられる」
「それだけで満足か?我を捕らえ罪人に仕立て上げたいのだろう」
「勿論だ。お前はこれから四六時中国軍に追われ続ける。安息の時が来ることは二度とない。いつまで持つか見物だな」
「そんな間怠い真似をする必要はない。貴様さえそのつもりなら、今直ぐにでも望みは叶うのだぞ」
「なに……?」
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