Underworld

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「……ふざけたことを嘯くな」 「ふざけていませんよ。この件に関しては、徹頭徹尾私は真面目です」 「貴様は羽桜龍希の軍門に下ったのだろう。今更、奴に弓を引くような真似ができる筈がない」 「貴女は忘れてしまったのですか?向こうがどう思っているかは分かりませんが、確かに私は羽桜龍希の仲間になりました。しかし、ただ肯定するだけが仲間ではありません。過ちを犯しているのなら、それを糺すのもまた仲間の役目です」 「・・・・・・!」 ルゴールドの言葉には実績が伴っている。かつて龍希がブランクを失ったことから正気を手放し暴走した際、人間界に渡り仲間を引き連れてそれを阻止した第一人者である以上、その言葉を疑うことは不可能に等しい。 そしてグルガンもまた、その遠征に救われた一人である。 「まあ分かっているでしょうから言っておきますが、私とて貴女方の言い分を鵜呑みにしているわけではありません。羽桜龍希を引き連れ、公の場で真実を明らかにする。その結果、貴女の言っていることが正しければ友として裁けば良し。隠された悪意があるのなら、それを暴けば良し。私にとって損はありません」 ルゴールドはほんの一瞬だけ、ギランハーツの方に目をやった。それは牽制であり、挑発でもある。この流れのまま進めば、困ることになるのはお前の方だ。それが嫌なら、狼狽える様を見せて見ろと言うメッセージであった。 「その言葉、嘘は無いな」 「無論です。私は今、自身の過ちと向き合い、それを償うために生きています。羽桜龍希が本当に過ちを犯しているならそれとも向き合う覚悟がある。況してや、私の命運は恩赦を与えている国軍が握っています。協力しない理由がないでしょう」 (確かに、気味が悪いほど奴の言葉は理に適っている。実際に羽桜龍希を止めたと言う裏付けもある……だが奴の提案に乗ることなど、本来なら絶対にあってはならないことだ……私は……)
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