Underworld

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「私は……皆を、裏切った」 「え……!?」 全く想定外の告白に思わず声を上げてしまったルゴールドの他にも、全員がレピンスの言動に固唾を飲んだ。この状況における裏切りとは、レピンスの生い立ちを考えればかなり狭い範囲まで絞り込むことができる。 「この視力を得るための代償だった。この魔法陣が刻まれたレンズを眼に嵌めている時だけ、私は生まれ付きの呪いから解放される。バニアスと同じ世界で生きられる……!」 一度知ってしまえば抗いようのない喜びだった。手放したくない。せっかく掴んだ幸せを失いたくない。その心を利用され、アッシュに何度も情報を渡してしまった。 巧妙なことに、それは小さなことの積み重ねだった。畑では何を育てているのか、山の中で最も多く植えられている樹はどんな名前かと言った雑談と呼んでも差し支えないようなもの。そこから少しずつ生活習慣の話、家の内部構造の話と踏み込まれ、有子が攫われた塹壕のことも遂には教えてしまった。 「だからあの場所に奴が潜んでいたのは私のせいだ。私が、私が……」 レピンスは膝から崩れて咽び泣く。無防備に晒された首をエルトに刎ね飛ばされてもおかしくない。いっそのことそうしてくれれば良いとさえ思った。 しかし実際はそんな単純な幕引きにはならなかった。エルトはレピンスを詰るどころか、内心の一つさえ口にしてはくれなかった。ただ神妙な表情で、腕を組み、二の腕の辺りにある布地を握り締めている。 「今ここで、吐き出して行くのですね。懺悔は全てを終えて帰って来た時か、強く引き留められた時だと思っていました」 「ああ。そんな意図は感じていた。私をここから連れ出して、贖罪のチャンスをお前が与えようとしてくれていたことも分かっている。だがそれに甘んじてはいけない。それに乗ってしまったら、私は前に進めない」 レピンスは涙を拭って立ち上がった。
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