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「いやー!意外と葉っぱとか落ちてるね!」
「もう、流はあんま掃除しないから分かんないと思うけど掃除って結構大変なんだよ!」
夜、掃除の手伝いをしながらホノンと話をしていると何やら白い布に包まれた謎の荷物を持った桜霞がこちらへ歩いてきた。
「掃除お疲れ様ですホノさん。」
「えっ!流さんはー?」
「流は普段全然掃除しないだろ」
「そーなの!流ってば全く掃除してくれないのー!」
「二人とも酷くないか!?てかおーくんの荷物どしたの?死体?あ、人殺した?」
「いや、殺すわけ無いだろ。なんだよそのあ、髪切った?みたいなノリは」
桜霞が呆れたように言う。
「笹だよ、笹。依頼人から貰った。」
「笹?あー!今日七夕かー!」
「そうだよ流。忘れてたの?」
「どうせなら短冊書くか?」
そう言って桜霞から短冊が渡される。
「いいねぇー!流さんなんて書こうかなー!」
なんて書こう?と考えている内にいつの間にか二人とも短冊を書き終えていた。
「え!二人とも早くない?なんて書いた?」
「私は流が掃除をしてくれますようにって書いたよ。」
「うぇっ…ホノンちゃん…それは無しじゃない〜?」
「俺は依頼が沢山くるようにって書いた。」
「依頼かー頑張ってねぇー!」
さて、私は何を書こう。
ムイン荘に来た時の事を思い出した。
封印が解けて絶望しながら歩いているといつの間にかムイン荘に辿り着いていた。
今思うとあれは神様からのほんの少しの慈悲だったのではないか。
もう誰かを失いたくない。みんなと一緒にいたい。そんな気持ちを込めて短冊に願いを書いた。
「よし!書けた!」
二人に見られる前に魔法を使い、笹の一番上に短冊をくくりつけた。
「もうー!なんて書いたの?」
「秘密ー!」
「俺たちはなんて書いたか言ったのに流だけずるいぞ!」
口では文句を言いつつも二人とも笑顔で幸せそうだ。
あぁ、私はこの笑顔が大好きだ。
私の願いは
『この幸せな日々がずっと続きますように。』
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