桜吹雪の後に

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桜吹雪の後に

 コンテスト「和装主人公が出てくるファンタジー小説」に応募した作品で、現在も連載中です。  気が付いたら異世界に転生していた少年「葉月」と復讐を終えた少女「桜」が出会い、再生していく和風ダークファンタジーです。  いわゆる「復讐劇」の後日譚を書いた作品でもあります。  私にとっては、初の「ボーイミーツガール」であり、初の「異世界転生」であり、初の「ダークファンタジー」であり、初の「長編連載」と、たくさんの「初めて」が詰まった、非常に思い入れの強い作品です。  異世界ファンタジーですが、「戦争」とか「バトル」といった激しさは皆無で、それよりも登場人物たちの「心の闇」や「選択」などに重点を置いています。そういう意味では、むしろ現実めいた物語かもしれません。  とはいえ、重く過ぎないよう、登場人物たちの馬鹿げた掛け合いなどを随所に入れて笑いを取るようにしています。あまりにも救いが無さすぎる展開だと、書いている自分まで暗い気分になってしまうので(汗)  念のため、血の描写が開始早々いきなりあることもここに書いておきます。  過激ではないのでR指定にはしていないのですが、復讐劇の後日譚ということもあり、そういった表現は所々にありますので、極端に苦手な方は注意が必要かもしれません。  例に漏れず、「和装主人公コンテスト」でもなかなかアイデアが思い浮かばず、締切ギリギリまで悩んでいました。  だけど、同時期にたまたま「復讐」がテーマである漫画『辺獄のシュヴェスタ』(作品については、下で書きます)を読んでいたことで、ふとこんなことを思いました。 「復讐劇は結構あるけど、その後を描いた作品って見かけないなぁ」と。  そんな気付きから、「復讐を終えたヒロイン」を書こうと思ったことで「桜」という少女が生まれ、この作品が生まれました。  コンテストのために書いた作品だったので、最初は特に連載するつもりはありませんでした。遅筆でプレッシャーに弱い上に面倒くさがり屋なので、連載する自信がなかったというのもあります。  でも、書いている内に桜と葉月の交流が頭に浮かんできて、「これは書いて形にしないと! というか書きたい!!」と思い、連載する形になりました。  行き着く先は頭にあるのですが、そこまでの過程がまだ曖昧なので、これから少しずつ形にしていく感じです。  何の目的も希望も見いだせず、ただ漠然と生きてきた少年「葉月」。  復讐という目的のためだけに、ただ前を見て生きてきた少女「桜」。    この作品は、性格も人生の歩み方も正反対な二人が出会うことで、互いの止まっていた時間が動き出す「ボーイミーツガールもの」です。  男女の出会いなどと、自分がまさかこんな王道な物語を書くとは夢にも思っていなかったので、正直、思いついた時は驚きました。  それだけに、話を構想して書くのが本当に楽しいです。書き進めれば進めるほど、新しい自分を発見できるような気がします。書き終えた時にはどんな私になっているのだろうと、今から楽しみです。  本当は「桜」と「葉月」についてもっといろいろ書きたかった(というか実は書いていました)のですが、下手をするとネタバレをしてしまいそうなので、泣く泣く割愛しました。  作中に出てくる事件の元ネタや設定などと一緒に、そういうのは後に『スター特典』として出そうと考えています。 『桜吹雪の後に』 https://estar.jp/novels/25624378 <影響を受けた作品> 『辺獄のシュヴェスタ(竹良実)』  魔女狩りの時代の修道院を舞台にした復讐劇で、上記にあるように「復讐を終えたヒロイン」が生まれるきっかけとなった漫画です。  主人公のエラは、魔女狩りで義母を殺され、「魔女の子を更生する」という名分で洗脳教育を施す修道院に囚われてしまいます。  だけどエラは洗脳教育にけして屈せず、義母を死に追い込んだ修道院の総長「エーデルガルト」を殺すため、密かに牙を磨き続けます。  何があっても折れない、びっくりするほど屈強な心の持ち主です。その辺の男よりずっと男です(笑)  同じように囚われた少女たちのドロドロとした人間模様や、修道院の洗脳教育描写が生々しい分、なおさら主人公の屈強さが際立っています。  次第に彼女を慕う少女たちも増えてきて、いつしか同志のような関係を結んでいたりします。  エラは、復讐のためだけに身を粉にして生きています。もう清々しいほどに。  だけど、私としては、彼女には幸せになってほしいですね。 『ケムリクサ(たつき監督)』  崩壊した世界でたくましく生きる姉妹を描いた、たつき監督によるアニメです。  おっとりとした巫女服お姉さん「りつ」、クールな戦闘担当の主人公「りん」、明るいムードメーカーのメイド服ちゃん「りな」と、もう字面だけでも個性的で、とても仲の良い姉妹です。  登場人物はこの姉妹だけかと思いきや、一話で、突如謎の少年「わかば」が姉妹たちの前に姿を現し、その後は紆余曲折を経て、姉妹の水探しの旅に同行することになります。  最初は警戒していた姉妹たちも、頼りなくも底抜けに優しい彼をだんだんと信頼するようになっていきます。特に、一番わかばを警戒していた主人公「りん」が、その辺りの変化が顕著で可愛い。何だよツンデレかよ、可愛いな(語彙力)  物語は、主人公の「りん」と謎の少年「わかば」を中心に進んでいきます。『桜吹雪の後に』を書く際に、この二人の関係に大きく影響を受けました。  特に、葉月は「わかば」の影響を物凄く受けています。というか「わかば」がいなかったら「葉月」は生まれなかったでしょうし、ボーイミーツガールものにもなりませんでした。  「桜」と「作品そのもの」を生み出すきっかけは『辺獄のシュヴェスタ』ですが、「葉月」と「物語の流れ」が生まれたのは『ケムリクサ』のおかげです。 『夜長姫と耳男(坂口安吾)』  桜の復讐の対象だった「夜長姫」は、この作品に出てくる「夜長姫」の影響を受けています。  というより、ほぼ本人かもしれません。マジでサイコパスです、夜長姫(震)。  サイコパスの女の子って、現実にいたら溜まったものじゃありませんけど、物語の世界だと何故か魅力的に思えてしまう。  主人公の耳男が、恐れを抱きつつも次第に姫に惹かれていく様は、何だか読んでるこっちまで怖くなってくるのですが、不思議と、耳男と同じような気持ちになっている自分に気付きます。  坂口安吾さんの筆力の賜物でしょう。さすが日本の文豪の一人、凄まじいです。
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