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「あの、僕は皆瀬天。よろしくね。」
ニコッと笑い話しかけた天出会ったが、相手の反応は芳しくない。
「ん?あぁ……横倉秋皆瀬……聞いたことないね。たかだか一般庶民が僕に話しかけないでもらえる?」
刺々しい態度で接する秋に天は戸惑う。
「あ……えーっと…なんかごめんね……。あの………もしかして横倉くんって横倉グループの……?」
「そうだけど。君みたいな庶民が横倉グループの僕に話しかけないでって言ってるの。」
横倉グループは横倉芸能事務所を親会社とするグループであり、表向きでは芸能事務所の運営、広告、映像などを手がけている会社である。
しかし横倉グループには真しやかに囁かれている噂がある。
それはΩの違法風俗や違法AVの販売を行っているというもの。
そのため、横倉家の人間には無闇矢鱈に近づくなというふうに囁かれている。
天は噂を全て信じている訳では無いが、あまり好かれていない秋にこれ以上話しかけない方がいいのかなと肩を落とした。
「ご、ごめんね………。」
「何してるの?」
いきなり話しかけられたことに驚いた天か振り向くと、そこにはあの日の少年、皆瀬宙が立って いた。
「あの「あっ!宙くん!新入生代表の挨拶かっこよかったよぉ!」
先程まで天と話していた彼は同一人物と思えないほどの豹変ぶりを見せながら宙に抱きつく。
「ありがとう、秋。」
秋に対して何となく素っ気ない様子の宙は天の方を向く。
「それから、やっぱりまた会えたね、君とはまた会えるきがしてたんだ。」
そう言って宙はふわりと微笑んだ。
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